キミは
その姿、声、感触
全てが挑発してくる
 
僕は
この姿、声、感触
全てで誘惑していく
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「 わ・・!やめっ・・・! 」
 

そっと触れるだけで反応する、身体、声、全て
余りにも可愛い反応を示すものだから、更に触りたくなって
何度も何度もその身体に触れるんだ
これでも怯えさせないようにと、静かに触れてるつもりなんだけど
それでも怯えるから、尚更可愛い
 

「 煩いんだけど 」
 

煩いだなんて、本当はただの口実でしかなくて
キミとキスがしたいだけなんだ
ただそれだけなんだ
煩いだなんて格好良いこと言っておいて、キミの口を塞げば
キミはそれで納得するから、僕は格好良いことを平気で言えてしまうんだよ
心にも無いことを言ってしまえば、キミから挑発してくるから
僕は何度も何度もキミを誘惑する
 

「 ねぇ、何で僕を見てくれないのさ 」
 

無理やり体を交えたその日から、柳沢は僕を見ようとはしなくなった
当たり前と言えば、当たり前なことなのだが、僕はそれを認めようとはしなかった
認めること等出来なかった
あの時言った言葉に偽りはなかったから
あの時言った「 アイシテル 」って気持ちは、本物だったから
それなのにキミは認めようとはしなかった
 
キミのその虫唾の走る偽善心は、僕のこの素敵で綺麗な偽善心を踏みにじったんだ
何度も何度も、その澄み切った心で、その屈託の無い笑顔で、
僕の全てを踏み潰したんだ!
 

「 淳なんか大嫌いだーね! 」
 
「 僕はこんなにスキなのに 」
 

キミが僕のこと好きとか嫌いとか、実際問題、どうだっていいことだ
僕は心の底からキミがダイスキだから、挑発してきても全然平気なんだ
僕の全てを愛してるって言うのに、構って欲しいからって
わざと全てを否定して挑発してくるなんて
可愛過ぎて涙が出てくるよ
 
涙を流して魅せたら、キミに怒られた
何だか虚しくなったから、それ以上魅せることはしなかった
僕は泣くことさえ許されないみたいだ
 

「 気持ちい良い? 」
 

都合のいい時だけキミは僕のことをスキなフリして、僕に快楽を求めるんだ
こんなくだらない快楽に身を委ねているキミは最低な生き物だ
そして、そんな最低なキミを見て快楽を獲ている僕はきっと
キミよりももっと最低な生き物だ
 
キミのその真っ白な偽善心を、僕は意図も簡単に踏み潰してしまうだろう
 
快楽に身を委ねてしまった僕とキミは、その事実を簡単に否定出来るから
本当のアイって奴を知ることはないとわかっていた
それでも僕は欲しかったんだ
本当の愛って奴を
それはキミとでしか叶えられない願いだって
涙が出ない程、誘惑なんて忘れてしまう程、本気で想ったんだ
だからこそ、キミをわざと挑発させるんだよ
 

「 少しは感じてくれた? 」
 

そっと触れるだけ反応するその全てに、虫唾が走る
本当は好きなくせに、本当は嫌いなくせに
こうやって何度も何度もキミを誘惑しては、快楽に悦っていく
心にも無い、くだらない言葉を簡単に吐き捨てていく
そうやって何度も何度も僕を挑発しては、僕を感じていく
 
僕とキミは、挑発しては誘惑して、誘惑しては挑発を繰り返す
お互いの中の本物の愛とかって奴を探すために
何度も何度も繰り返す
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
この誘惑と挑発をアイだって偽善心で確信しないと
可愛過ぎるキミに本気でキスしてしまいそうだ