僕は身悶えた
すごいぐらいのキモチのワルさに
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「 イタイ 」
 
「 うん、オレもイタイ 」
 

身体中が痛い
腕も、足も、頭も、使い物にならなさそうだ
少しでも身体を動かせば、骨が軋むのを感じる
立つ事さえ許されそうに無い
どうしてくれるんだ、この痛々しい可哀想な身体を
 

「 どうしてくれるのさ 」
 
「 舐めてあげようか? 」
 
「 キモチワルイ 」
 

同じぐらい痛いと思われるその身体を、
近づくなと言わんばかりに蹴りを入れてやった
まるで水を失った魚類の様に、気持ち悪いぐらい身悶えた
いい気味だ
お前にはこれでも全然足りないぐらいだ
 

「 いてぇっつーの! 」
 
「 あっそ 」
 

自業自得だ、天罰だ、天誅だ
お前が人の者に手を出さなければ、人の大切な者に触れなければ
二人ともイタイ想いをしなくてすんだんだ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「 まーだ怒ってんのー? 」
 
「 きっと一生怨んでるよ 」
 
「 オレは楽しかったけどなー 」
 

多分、いや、絶対忘れはしないだろう
大切にしていた者に手を出された、だから大切な者に手を出した
そしたら殴られた、ムカツクから殴り返した
そのうち誰も止められなくて、立つ事さえままならない状態まで
骨が軋むまで、身体を痛めつけ合った
どちらも同じだった
痛みも、痛みも、喜びも
 

「 何が楽しいんだよ 」
 
「 いやー、あんな顔するなんてねー 」
 

コイツは人が慌てふためく姿を観て、喜んでいた
こっちはただただ、怒りで我を忘れていただけだというのに
余裕綽々、ヘラヘラ笑ってるその姿が、更に怒りを沸騰させる
それだけじゃない、存在その物が、全てが、感に障る
ただタバコを吸っているその姿にさえ、嫌気を感じる
コイツは敵だ!
どこが?と聞かれると、わからない、と言うだろうが
コイツは敵なんだ
本能がそう言っているから!
だからこそ、コイツが痛がってる姿を観て、
喜びを感じるんだ!
 

「 僕、嫌い過ぎて困ってるんだけど 」
 
「 あらーステキ! 」
 
「 キエテクレ 」
 
「 オレ達って似てるって 」
 
「 キモチワルイ 」
 
「 でしょー 」
 

お前、はっきり言って気持ち悪いよ
気持ち悪いってわかってるくせして、キモチワルイことを言うから
それを冗談としては受け取れないんだ
そしてそれを素直に受け入れる奴が、一番気持ち悪いんだ
似てるも似てないも、二人は全然違う生き物なくせして
思考回路が同じ生き物だから、そんなのは関係ないんだ
元からこうなんだよ
まったく同じDNAを持ってるんじゃないか、って気持ちなんだ
別だ、別じゃない、って言われても、はっきり言って困るんだよ
 
 
 
 
 
 
 

「 オレ、キサラヅクンのこと嫌いじゃないな 」
 
「 僕も、千石のことは嫌いじゃないよ 」
 

何が気に食わないか、何が嫌いか
自分自身が丸写しされたようなコイツが、自分自身のようで
大嫌いなんだよ
本能がお前を否定しているんだ!
それでも今まで一緒にいるんだから、本当はきっと
大好きなんだよ
本能が自分を肯定しているんだ!
 
 
 

こんなキモチワルイぐらいの二人が
僕はダイスキだ